No.19



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どこかでいつかは書いて残したいと思っていた、蝶のことを綴ります。

私の亡き母は無類のアゲハ蝶好きで、どれほどかと言えば家にイモムシを育てる為の専用部屋があったり、大量の虫籠や特注で作った飼育用の特大ゲージ(私の背より高い)があったり、庭には食草用の山椒/カラスザンショウ/蜜柑/金柑/檸檬/カラタチ...等(柔らかい山椒が人気、高級志向イモはカラスザンショウを好む傾向)を育て、誇張なく1日中でも虫籠を見ているような、正に現代の虫愛づる姫君でした。

毎年沢山のアゲハ蝶を卵から育て、よく見かけるナミアゲハは勿論、終齢時から立派で模様が黒いクロアゲハ、蛇のように厳つい顔つきで羽化すれば宝石のような輝きのカラスアゲハ、最大級のアゲハ蝶であるモンキアゲハ、(実家付近では)滅多に出会えない終齢時から模様が白いナガサキアゲハ、クロアゲハとよく似た(私には見分け付かない)オナガアゲハ、先の子達と異なりセリ科を食草とするイモの見た目が最高にキュートなキアゲハ...等々、夏は特にナウシカの地下室の如く虫や草に囲まれた実家でした。

※Gallaryページ(https://mew.secret.jp/gallery.php)の下部に蝶やイモムシ達の写真を追加したので、抵抗のない方はぜひ見てください。

また、母の愛はアゲハ蝶だけにとどまらず、セスジスズメや蚕蛾等々、たくさんのイモムシちゃんを育てました。
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蚕蛾については幼虫も成虫も清らかな白で美しく可愛いのですが、人が飼いならし品種改良された彼らは野生で生きる力がなく、成虫は飛ぶこともできず食べることもなく、目も見えず...何の役にも立たない小さな羽を一日中羽ばたかせ(羽が壊れてしまうほどに)、無残にもただ交尾だけを続け大量に産卵する様が可哀想で、はじめての飼育を最後に育てることを辞めた思い出があります。
最後に母が泣きながら卵を湯掻いていた記憶が、なんとも母らしくて忘れられません。

私の創作において、を故人のシンボルとしております。
その所以は上記のように、私が創作世界の道標とする母が蝶を愛した人生を送ったからでした。最初は蝶の羽をもつ女王の登場を考えていましたが、もう人の姿は懲り懲りかなと...(笑)
私の世界では陽の世界を苦しく試練の多い地、陰の世界を安らぎある聖なる地として描いていて、陰の守護者Deathちゃんよりも陽の守護者Dawnちゃんの方が恐ろしく死神のような役割を担っています。苦しみは此の世だけで十分なので...。

生まれ変わったらカラスザンショウの木になりたいと生前ずっと言っていた母だったので、棺にその枝を入れました。甘いバニラのような、独特で妖艶な香りのする木です。
陰(死)から陽(生)へ転生する最後の要所を幼虫が蛹となり体を溶かして蝶となる「変態」をモチーフとしているのですが、その美しい儀式を行う舞台(=忘却の森)をカラスザンショウの森としたのは、母の宝物をこの世界に散りばめたい願いからでした。

今日はそんな母の誕生日。
蝶や彼らを育てる母なる大樹となって、また時には好きに姿を変えながら、時間や空間に縛られず自由でいてほしいです。

#虫 #母 #創作 #裏話


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